yamf: METAFONTソース用Emacs Lispプログラム

最近TeX/METAFONTの動作環境をDOSからWindows95に移行しました。ソースを修正してはMETAFONTを実行してできた紋章を見る…。これを繰り返すのに、エディタ(Mule for Windows)とDOS窓を交互にクリックするのがうっとうしいので、 MuleからMETAFONTを呼び出せないかと考えました。幸い、YaTeXというLaTeX入力支援環境があって、TeXを呼び出す機能がついているので、 MEAFONTを呼び出せるように改造できないかと思い、とりあえず作ってみたのが「yamf」です。

ひとまず正式公開といたします。ご意見・ご感想などいただければ幸いです。

yamfの動作環境

yamfの動作環境は以下のとおりです。

GNU Emacs系エディタ (EmacsWiki)
TeX/METAFONT (私はWindowsのTeX Liveを使っています)
広瀬雄二さんが開発されたEmacs用LaTeXソース入力環境 YaTeX (私はバージョン1.77を使っています)
yamfのダウンロード

これ以外の環境で「動いた」「動かなかった」「修正したら動いた」という方、レポートお待ちしております。

環境設定

Emacsの設定ファイル.emacsを編集します。以下に示すのは一例ですので、各自の環境に応じて設定してください。

YaTeXを使ったことがない人は、まず、YaTeXのドキュメントを読んで、 YaTeXが使えるように設定します。
yamf.elを置いたディレクトリを変数load-pathに加えます。
```
(setq load-path (cons "c:/mule/site-lisp/yamf" load-path))
```

自動ロードを宣言します。

(autoload 'yamf-mode "yamf" "METAFONT additive for YaTeX" t)

ファイルの拡張子に応じてモードを選択するための設定をします。
```
(setq auto-mode-alist (cons '("\\.mf$" . yamf-mode) auto-mode-alist))
```
METAFONTを起動するコマンドを設定します。オンラインディスプレイ付きで METAFONTを起動するためのコマンドも設定します。
この文字列の中の「%m」は、METAFONTのモード (出力装置の特性を指定するための名前)に置き換えられます。ソースファイルの名前をコマンドの末尾以外の場所で指定したいときは、「%s」を入れておけばそこに挿入されます。
TeXと違ってMETAFONTを起動するコマンドラインには「\」とか「;」とか入るのでちょっと工夫がいります。 WindowsでシェルにCOMMAND.COMを使うときは下記のようになります。
```
(setq yamf-mf-command "mf \\\\mode=%m; input")
(setq yamf-mf-with-display-command "mf \\\\mode=%m; screenchars; input")
(setq yamf-shell-command-option "\\/C")
```
UNIX(csh)だとこうするのがいいでしょうか。 (Windowsでシェルにtcshを使うときもこの設定で動きます)
```
(setq yamf-mf-command "mf '\\mode=%m;' input")
(setq yamf-mf-with-display-command "mf '\\mode=%m;' 'screenchars;' input")
(setq yamf-shell-command-option "-c")
```
使用するプリンタの機種に合わせてMETAFONTのモードと解像度を設定します。 METAFONTのパッケージに付いているmodes.mfというファイルを参照してください。
これはLaserShotのための設定例。
```
(setq yamf-mf-mode "cx")
(setq yamf-mf-resolution 300)
```
BJ10vなんかだと次のようになります。
```
(setq yamf-mf-mode "bjtenex")
(setq yamf-mf-resolution 360)
```

ゲラ刷りのためのモードと解像度を設定します。

(setq yamf-proof-mode "proof")
(setq yamf-proof-resolution 2602)

オンラインディスプレイを使うかどうかの選択。
```
(setq yamf-mf-display-switch 1)
```
この変数がnilだとオンラインディスプレイを使いません。 tにすると常にオンラインディスプレイを使います。数値1にすると、後述する「1文字作成」のときだけオンラインディスプレイを使います。
一時ファイルの名前を設定します(デフォルト値は"mfput.mf"です)。
```
(setq yamf-mfput-file "mftemp.mf")
```
できたフォントをインストールするディレクトリを設定します。「%m」はMETAFONTのモードに置き換えられます。また、環境変数の置換もできます。
```
(setq yamf-pk-directory "$TEXMF/fonts/pk/%m/local")
(setq yamf-tfm-directory "$TEXMF/fonts/tfm/local")
```
キー操作に関して2つのユーザオプションがあります。キーシーケンスの最初の文字は、変数yamf-prefixで指定します。デフォルト値は"\C-c"です。
キーシーケンスの2番目の文字は、デフォルトでは英字ですが、変数yamf-cc-letterをnilにすると、「control-英字」に変更できます。
キー操作を変更したときは、以下の説明は適宜読み替えてください。

操作

拡張子が「.mf」のファイルを読み込むと自動的にyamfのモードになります。エコー領域に「Welcome to yamf mode」と表示されるはずです。

現在実装されているキー操作は次のとおりです。

`C-c m`	現在のバッファ全体に対してMETAFONTを実行する。
`C-c c`	1文字作成: 現在カーソルのあるところで定義されている1文字に対して METAFONTを実行する。
`C-c i`	できたフォントをインストールする。tfmファイルを `yamf-tfm-directory`にコピーし、 gfファイルはpkフォーマットに変換して`yamf-pk-directory`に置く。
`C-c v`	ゲラ刷り
`C-c DEL`	METAFONTが生成したファイルを削除する。
`C-c h`	ヘルプです。(現在はあまり役に立ちません)

作成中のフォントを使ったサンプル文書をタイプセットするために、次のような機能もあります。これらの機能を使うには、後述の「ソースファイル内での設定」を行う必要があります。

`C-c j`	TeXを実行する。
`C-c p`	プレビューする。
`C-c l`	印刷する。

ソースファイル内での設定

METAFONTのソースファイルの中に次のような特殊なコメントを書いておくことによって、 yamfの動作を制御できます。いずれも、行頭に空白を入れずに書いてください。

`%#!`	METAFONTを実行するコマンドライン
`%#ENDPREAMBLE`	プリアンブルの終わり(後述)
`%#POSTAMBLE`	ポストアンブルの始まり(後述)
`%#TEXFILE`	サンプル文書のファイル名
`%#TEXCOMMAND`	サンプル文書をタイプセットするコマンドライン
`%#PREVIEW`	サンプル文書をプレビューするコマンドライン
`%#LPR`	サンプル文書を印刷するコマンドライン

1文字作成の詳細

作成中のフォントの中の1文字だけを試しにMETAFONTで処理してみるには、 C-c c キーを使います。この機能は、編集中のファイルのうち、

ファイルの先頭から%#ENDPREAMBLEで始まる行まで
カーソル位置から上に探して行頭に空白をあけずにbeginがある行から、下に探して行頭に空白をあけずにendがある行まで
「%#POSTAMBLE」で始まる行からファイルの末尾まで

をつなぎあわせて一時ファイルに書き出し、METAFONTで処理します。
したがって、mode_setup;やマクロの定義のある行の下に%#ENDPREAMBLEを挿入し、 byeのある行の上に%#POSTAMBLEを挿入しておく必要があります。

使用上の注意

本プログラムはフリーソフトウェアです。本プログラムを使用したことによるいかなる結果に対しても作者は責任を負いません。

ご意見・ご感想・ご質問・バグ報告・転載の希望などはてんてば (JAC01617_AT_nifty.ne.jp←「_AT_」を「@」に変えてください)宛メールにてお願いします。

本プログラムはYaTeXの機能の一部を利用していますが、 YaTeXのパッケージに付属するものではありません。本プログラムに関する質問などをYaTeXの作者の広瀬さんや「fj野鳥の会」に送らないようお願いします。

更新履歴

1999.3.18 (ver. 0.12)

ゲラ刷り機能を追加
YaTeXとyamfで別のシェルを使えるようにした

1999.2.28 (ver. 0.1)

正式公開
ファイルの削除機能を賢くした
ファイル削除のキーバインドを変更

1998.10.12 (ver. 0.04)

キーバインドを「C-c 英字」と「C-c C-英字」から選択できるようにする
生成されたファイルを削除する機能を追加

1998.10.8 (ver. 0.02)

「環境設定」の説明の誤りを訂正
ヘルプ機能のバグを修正

1998.10.5 (ver. 0.01)

最初の仮公開